ほとんどの人にとってサビ残は忌み嫌うものだ。勤務先に人生をささげている人々にとってもできるものなら給料を得て働く時間が多い方がいいに決まっている。労働の目的が賃金である以上、サビ残は人々にとって避けたいものなはずだ。
このサイトでは「サビ残」という言葉を定時の前後に関わらず、賃金の発生していない時間に勤務を行うこととして使っている。自分の求める報酬が与えられないことをわかっていながら代償を払いたがる人はいない。このように労働者の主観で見るとサビ残は避けたいものだろう。しかし、客観的に見たときはどうだろうか。
例えばあなたが勤務10年以上の社員だとしよう。4月になって新入社員を迎えることになった時、サビ残を避け勤務時間として賃金計算に含まれない時間は全く勤務を行わない新人と毎朝定時よりだいぶ早い時間に出勤し業務を始め、賃金計算に含まれないと知りながらも夜遅くまで働く新人。どちらに優しく仕事を教えたくなり、どちらのミスをフォローしたくなるだろうか。間違いなく後者だろう。この選択は善悪の問題ではなく人間としての情があれば皆、後者を選ぶはずだ。
しかし、筆者と読者の皆さんが目指す本当にホワイトで理想的な労働環境とはサビ残を避ける姿勢でありながらも勤務中は同僚からのサポートを得られるような環境のはずだ。上記の例からもわかるように共に働く仲間にとってサビ残は評価されるモノであり、サビ残を避けるものは評価が下がることもあり得る。
もしもあなたが先輩のフォローや指導をあまり必要としないようなエリートと呼べる人ならばこの知識は必要なかったかもしれない。しかしほとんどの場合、企業での業務はチームで行うものであり、周りからの評判の良さは大きなメリットとなるがその逆は大きなデメリットとなる。誰にでも間違いはあり、慣れない環境で新しく働き始めるとなればより一層ミスの可能性が増え、周囲からの助け・指導が必要な場面が出てくる。
このような条件下で周りからの評判を落とさず、さらにサビ残を避けるのは難しいかもしれない。このような中でも私たちの目指す本当にホワイトで理想的な働き方を手に入れるには何が必要なのか。それは「サビ残をしたくてもできない労働環境」である。
サビ残をするかしないか選択ができてしまう環境では周囲の同僚・上司の目が実質的にサビ残をしないという選択肢を無くしてしまうのだ。これを防ぐための「サビ残をしたくてもできない労働環境」についてはまた別の投稿で触れようと思う。読者の皆さんの中に周りの目・評価を気にしてサビ残をせざるを得なかったという体験を持っている人がいたらぜひコメント欄で共有してほしい。その際、実際の企業名を出すと企業の名誉を傷つけてしまう可能性があるので注意しよう。